二〇二〇年 五月二十八日(木)

「日の出とともに目覚め、日の入りとともに寝る」――かつて、人間はこのように生活していたそうだ。言われてみれば、街灯なき道はとても活動できるような明るさではなく、夜更けの山は、立ち入るにはあまりにも不気味すぎる。

 僕は、そんな生活に憧れる。別に、原始時代に戻りたいというわけではなく、単にそういった生活サイクルに憧れている。

 

 少し話は変わり、「墓場」の話をしたいと思う。

 近所に墓地がある、という人は、多いようで少ないのではないだろうか。僕の家の近所には、何箇所か墓地がある。どれも、なぜか山の中に(やっぱり、お墓というものを見るのは嫌なのだろうか。でも、墓のすぐとなりに家が何軒か立っているのだが)。

「墓場に入ると、僕は少し身震いをした。――何かがいる。そんなことを告げているような寒気がしたのだ」。

 そんな小説的な表現を、皆さんは目にしたことがあると思う。墓場に入ると寒気がする、というのは一般的に、死者の冷たさから来ているのだろう。死人の肌はひどく冷たいし、『死』そのものが冷たいイメージを持つ。

 今日は散歩のついでに、近所の墓に行ってみた。クソがつくほど暑い日だったが、果たして墓場というのはいかほどか、とふと気になったのである。

 

 辿り着いた墓場は、静謐な空気に包まれていた。静かなだけでなく、どこか人を落ち着かせるような、例えるならベッドの中と同じような雰囲気。先程まで聞こえていたカラスの鳴き声も、どこか遠く聞こえる気がするほど。

 長袖を着てくればよかったな、と思った。